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介護保険の「加算」とは?明細の見方

毎月届く、介護サービスの利用明細。金額の下に、見慣れん言葉がずらっと並んでいます。

「サービス提供体制強化加算」。「介護職員等処遇改善加算」。合計額だけ確かめて、そのまま封筒に戻す。。。そういう方は、けっこう多いんじゃないでしょうか。

聞いてええものかどうか、分からんのですよね。事業所に「これは何ですか」と尋ねるのは、なんだか文句を言うみたいで気が引ける。大将のところにも、そのあたりで止まっておられるお声が届きます。

今日は、明細に並ぶ「加算」とは何なのか、料金がどう決まっているのかを整理してみます。厚生労働省と松山市の資料にもとづいた話です。金額の当てはめではなく、明細の読み方のお話。

介護保険の料金は「単位」で決まっている

ここを知っておいていただくと、あとが一気に読みやすくなります。

介護サービスの料金は「1回いくら」と円で決まっているわけではありません。単位という数字で決まっています。

厚生労働省の資料では、介護報酬の基本的な算定方法をこう説明しています。

サービスごとに算定した単位数 × 1単位の単価 = 事業者に支払われるサービス費

そして、そのサービス費の1割・2割・3割が利用者の自己負担になります。

1単位の単価は、10円が基本です。ただし地域によって上乗せがあり、資料では「10円〜11.40円」の幅で、サービス別・地域別に設定されると示されています。理由は人件費の地域差で、各市町村に適用される級地(地域区分)は「公務員(国家・地方)の地域手当の設定がある地域は、原則として当該地域手当の区分に準拠」して決められています。

つまり、料金は3つの掛け算でできています。

要素 中身 誰が決めるか
① 単位数 サービスの種類・時間・要介護度ごとに決まる。ここに加算が足される 国(告示)
② 1単位の単価 10円が基本。地域とサービスにより上乗せ(最大11.40円) 国(告示)
③ 負担割合 1割・2割・3割。所得によって決まる 市が判定・毎年8月に負担割合証が届く

(出典: 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第243回 資料1「地域区分」、松山市「介護保険で利用できるサービスと利用料」。2026年9月時点)

介護保険の利用料が決まる三つの段階。単位数×1単位の単価×負担割合

明細の数字が「〇〇単位」と書かれているのは、このためです。

「加算」は、体制や取り組みに対する上乗せ

さて、本題です。①の単位数に足される加算とは何か。

ひとことで言えば、基本のサービス料金に、事業所の体制や取り組みに応じて上乗せされる単位です。裏を返せば、「基本のサービス」の値段だけでは表しきれない部分を、国が単位というかたちで評価している仕組み、ということになります。

厚生労働省の「介護報酬の算定構造」から、通所介護(デイサービス)の例を挙げます。

加算の名前 何を評価しているか 単位数の例
サービス提供体制強化加算(Ⅰ) 介護福祉士の割合など、職員体制の手厚さ 1回につき 22単位
サービス提供体制強化加算(Ⅱ) 同上(Ⅰより要件が緩やか) 1回につき 18単位
サービス提供体制強化加算(Ⅲ) 同上 1回につき 6単位
介護職員等処遇改善加算 職員の賃金改善への取り組み 1月につき 所定単位に加算率を乗じた額

(出典: 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第239回 参考資料2-1「介護報酬の算定構造」。令和6年4月改定時点の単位数)

たとえばサービス提供体制強化加算(Ⅰ)なら、1回につき22単位。1単位10円の地域で1割負担の方なら、計算上は1回あたり22円が目安です。月に8回通われたとして176円。金額としては、そう大きな話ではありません。

がしかし。大将が「ここは見てほしいなあ」と思うのは、金額のほうではないんです。

この加算がついているということは、その事業所が介護福祉士の割合などの要件を満たしているということでもあります。明細の一行が、そのまま体制を示す記録になっている。金額よりも、そちらのほうがずっと大きい情報だと大将は思います。

令和8年6月から、処遇改善加算が拡充されました

明細でよく目にするもうひとつが介護職員等処遇改善加算です。これは令和8年6月から中身が変わっています。

厚生労働省老健局長通知(令和8年3月13日 老発0313第6号)には、こう書かれています。

介護分野の職員の他職種と遜色のない処遇改善に向けて、令和9年度介護報酬改定を待たずに期中改定を実施し、介護職員等処遇改善加算の対象の介護従事者への拡大や、生産性向上や協働化に取り組む事業者に対する上乗せの加算区分の創設に加え、これまで処遇改善加算の対象外だった、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等に介護職員等処遇改善加算を創設することとした。

改定の中身を示した資料には、「介護職員のみならず、介護従事者を対象に、幅広く月1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置」が挙げられています。

ここでご家族に知っておいていただきたい点が、ひとつあります。同じ通知に、こうあります。

なお、処遇改善加算は、区分支給限度基準額の算定対象から除外される。

区分支給限度基準額というのは、在宅で介護保険サービスを使うときの1か月の枠のことです。松山市の説明では「在宅で介護保険のサービスを利用する場合、要介護状態区分ごとに、1か月に給付を受けられる区分支給基準限度額が定められています」。

処遇改善加算は、この枠の外で計算されます。つまり、この加算がついたぶん、使えるサービスの量が減るわけではない。ここは誤解されやすいところだと思います。安心していただいてよいところです♪

なお、次の令和9年度の介護報酬改定については、令和8年8月28日の社会保障審議会介護給付費分科会(第263回)で、処遇改善や現場の安全確保といったテーマの議論が始まった段階です。中身はまだ決まっていません。年末から年明けにかけて、あらためて確認する時期が来ます。

明細を見て、聞いてよいこと

加算の名前が分からないとき、聞く先はいくつかあります。

  • 事業所。明細を出しているところなので、いちばん早いです
  • 担当のケアマネジャー。複数の事業所の明細をまとめて見てもらえます
  • 松山市 介護保険課。制度の説明や、負担が重いときの軽減制度について

聞き方は「これは何の料金ですか」で十分です。加算は国が定めた基準にもとづいて算定されるもので、事業所が独自につけている料金ではありません。根拠のある数字ですから、遠慮なく尋ねてよいところだと思います。

そして、加算の名前は事業所選びの材料にもなります。職員体制を評価する加算がついているかどうかは、パンフレットの写真からは読み取れません。見学のときに「どんな加算を算定されていますか」と聞いてみる。これ、なかなかおもろい質問だと思います。

松山では、どうなっているか

松山市は、利用料についてこう説明しています(2026年6月8日更新)。

介護保険サービスを利用した時は、原則として費用の1割、2割、3割を負担していただきます。

仮に1万円分のサービスを利用した場合に支払う費用は、1千円ということです。

負担割合は所得によって決まり、毎年8月に負担割合証が届きます。ご自身が何割かは、この証で確認できます。

1単位の単価については、厚生労働省が示している上乗せ対象地域(級地)の一覧に、愛媛県の市町村は挙がっていません(令和6年12月の分科会資料時点)。したがって松山市は上乗せのない区分にあたり、1単位10円が基本と読めます。ただし単価は告示で定められ、改定されることがあります。実際の金額は事業所・ケアマネジャーにご確認ください。

負担が重いときの窓口も、市にあります。1か月の自己負担額に上限を設ける高額介護サービス費、施設の食費・居住費を軽減する負担限度額認定は、いずれも松山市 介護保険課が窓口です。どちらも申請しないと受けられません。

施設の食費・部屋代のしくみは施設の食費・部屋代はどう決まる?軽減制度の話に、認定申請からの流れは松山で介護保険を申請するには?窓口と流れにまとめています。

まとめ

持ち帰っていただきたいのは、3つです。

  1. 料金は「単位数 × 1単位の単価 × 負担割合」で決まります。加算は単位数に足されるもの
  2. 加算は事業所の体制や取り組みへの上乗せです。名前が読めると、事業所選びの材料にもなります
  3. 処遇改善加算は区分支給限度基準額の枠の外です。この加算で使えるサービスの量が減ることはありません

在宅を続けるか施設を考えるかで迷っておられるなら在宅介護の限界、どこで施設を考えるかを、住まい探しの窓口については老人ホーム紹介センターの仕組みと確認したいことをご覧ください。

明細は、請求書であると同時に、その事業所が何をしているかの記録でもあります。分からん行があったら、どうぞ遠慮なく聞いてください。

大将は昔から、レスポンスの速さそのものが「快」のひとつの形だと思っています。聞かれたことに、待たせずに答える。それだけで、相手にとって心地よい相手になれる。お金の話は、いちばん切実で、いちばん聞きにくいところです。だからこそ、そこを気持ちよくお答えするのが、させていただく側の仕事だと思うんです。

してあげているのではなく、させていただいている。その姿勢を続けること。それが大将の約束です♪

松山近郊でグループホーム・デイサービス・居宅介護をお探しでしたら、見学のご相談をどうぞ。費用のお話も、遠慮なくお尋ねください。

この記事の出典

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