福祉用具レンタルの使い方|介護保険と松山の窓口
退院の日が決まった。家に帰ってくる。
うれしい。がしかし、今の布団から一人で起き上がれるんやろうか。トイレまで歩けるんやろうか。。。
在宅介護が始まるとき、ご家族が最初にぶつかりやすいのが「道具」の問題です。介護用のベッド、車いす、手すり。全部そろえたらいくらかかるのか。そもそも、どこで手に入れるのか。
介護保険には、こうした道具を1〜3割の負担で借りられる「福祉用具貸与」というサービスがあります。ただし、要介護度によって借りられない品目があったり、借りるか買うかを選べる品目があったり。知っておきたい決まりが、いくつかあるんです。
今日は大将が、厚生労働省と松山市の資料にもとづいて順に整理します。
介護保険で借りられる福祉用具は13品目
対象は次の13品目です。要介護度によって、原則として借りられない品目があります。
| 品目 | 要支援1・2、要介護1 | 要介護2・3 | 要介護4・5 |
|---|---|---|---|
| 手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえ | 利用できる | 利用できる | 利用できる |
| 車いす・車いす付属品 | 原則対象外 | 利用できる | 利用できる |
| 特殊寝台(介護用ベッド)・特殊寝台付属品 | 原則対象外 | 利用できる | 利用できる |
| 床ずれ防止用具・体位変換器 | 原則対象外 | 利用できる | 利用できる |
| 認知症老人徘徊感知機器 | 原則対象外 | 利用できる | 利用できる |
| 移動用リフト(つり具を除く) | 原則対象外 | 利用できる | 利用できる |
| 自動排泄処理装置(尿のみを吸引するものを除く) | 原則対象外 | 原則対象外 | 利用できる |
(出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「福祉用具貸与」、松山市「軽度者に対する福祉用具貸与(例外給付)」。2026年9月時点)
「原則対象外」の品目も、医師の医学的な所見などから必要と認められれば、例外的に借りられることがあります(松山市の手続きは後の節で)。
費用のしくみ
利用者負担は、費用の1割(一定以上の所得がある方は2割または3割)。費用は品目や商品によって異なります。
また、要介護度ごとに1か月に使える支給限度額があり、レンタルもその中に含まれます。デイサービスなどほかのサービスと合わせて、限度額の中で組み立てます。
料金には国の決まりもあります。平成30年10月から、商品ごとに全国平均の貸与価格が公表され、上限が設けられています。借りる先によって値段が青天井、とはならんよう国が線を引いているわけです。
使い始めるまでの流れ
福祉用具を借りたいと思ったら、まずはケアマネジャーに相談するのが入口です。松山市も「利用を希望する場合は、ケアマネジャーなどに相談してください」と案内しています。
ケアマネジャーとは、サービスの組み合わせの計画(ケアプラン)を立てる専門職のことです。要介護認定がまだなら、先に申請が必要です。松山市での流れは松山で介護保険を申請するには?窓口と流れにまとめています。
用具を選ぶ場面では、事業者の福祉用具専門相談員が、心身の状況や住まい、ご本人の希望をふまえて選ぶ手助けをし、取り付けや調整まで行います。
大将は昔から、ご本人が「やらない」のか「やれない」のかを分けて考えるようにしてきました。やらないのは、ご本人の決めたこと。やれないところには、手を添える。福祉用具も、その「手を添える」形の一つだと思うんです。
杖・歩行器などは「買う」も選べます
令和6年4月1日から、一部の用具について、借りるか買うかを利用者が選べるしくみ(選択制)が始まりました。対象は次の4つです。
- 固定用スロープ
- 歩行器(歩行車を除く)
- 単点杖(松葉づえを除く)
- 多点杖
買う場合は「特定福祉用具販売」として購入費の支給の対象になります。借りる場合と買う場合で、その後の関わり方が変わります。
| 借りる(貸与) | 買う(販売) | |
|---|---|---|
| 支払い | 月々のレンタル料の1〜3割 | 購入費。支給限度基準額は同一年度で10万円 |
| その後の関わり | 利用開始後、少なくとも6か月以内に1度、福祉用具専門相談員が確認し、貸与を続ける必要があるか検討する | 目標の達成状況を確認する。求めに応じて使用状況を確認し、必要なら使い方の指導や修理などに努める。商品不具合時の連絡先が伝えられる |
(出典: 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第239回 資料1、松山市「福祉用具購入費の支給」。2026年9月時点)
国は、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員が選べることを十分に説明し、医師や専門職の意見、体の状態などをふまえて提案することとしています。そのうえで、決めるのは利用者ご本人やご家族です。
向き不向きは、使う期間の見込みや、体の状態が変わりやすいかで違ってきます。値段の数字だけでは決まらんのですよね。
迷ったら、担当のケアマネジャーに「借りる場合と買う場合、それぞれどうなりますか」と聞いてみてください。説明することは国が求めている役目です。遠慮はいりません♪
購入費の支給や、手すりの取り付け工事(住宅改修)の手続きは、介護費用の軽減と住宅改修|松山の申請窓口で整理しています。
障害福祉の車いすを使っている方へ
障害福祉の「補装具」として、体に合わせた車いすや歩行器を使ってきた方もおられます。65歳になるなどして介護保険の対象になったとたん、どうなるのか。。。
国の考え方は、車いす・歩行器・歩行補助つえは介護保険の給付が優先される、というもの。ただし介護保険の用具は標準的な既製品から選ぶため、医師や身体障害者更生相談所などが個別の対応が必要と判断した方には、補装具費として支給して差し支えないとされています。
令和8年9月10日、厚生労働省はこの取扱いについて、あらためて自治体に留意事項を示しました(介護保険最新情報 Vol.1542)。主な点は次のとおりです。
- 両方の要件を満たす方には、どちらも利用できることを知ってもらったうえで、どちらを希望するかは本人の判断とすること
- 介護保険の対象になる前に補装具を使っていたかを確認することが大切であること
- ケアプランを作る過程で、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員が情報を共有し、検討すること
補装具をこれまで使ってこられた方は、ケアマネジャーや市の窓口に、これまでの利用状況をそのまま伝えてご相談ください。補装具として使い続けられるかどうかは、個別の判断になります。
松山では、どうなっているか
軽い要介護度で車いすやベッドが必要なとき
先の表で「原則対象外」となっていた品目(自動排泄処理装置は要介護2・3の方も含みます)について、松山市は「軽度者に対する福祉用具貸与(例外給付)」の手続きを設けています。
松山市の案内では、医師の医学的な所見にもとづき、次のような状態から必要と判断される場合が対象です。
- 状態が変動しやすい方
- 状態が急速に悪化する見込みの方
- 身体への重大な危険性や症状の重篤化を避けるなど、医学的な判断から必要とされる方
手続きは、ケアプランを作った地域包括支援センターの職員やケアマネジャーが、松山市 介護保険課へ確認申請を出します。医師の医学的所見を示す書類などを添えます。
大事なのは順番です。松山市は「原則、福祉用具貸与を開始する前に事前確認の承認を得ておく必要があります」と案内しており、承認はさかのぼれないと明記しています。先に借り始めてしまうと、その期間は保険の対象にならないおそれがあります。
急ぎたい気持ちは、よう分かります。がしかし、ここは一呼吸。まずケアマネジャーか地域包括支援センターへ、です。
地域包括支援センターとは、高齢者の相談を地域ごとに受け付ける公的な窓口です。
窓口
- 福祉用具貸与・例外給付について: 松山市 介護保険課 介護給付担当 電話 089-948-6885・6924
- 障害福祉の補装具について: 松山市 障がい福祉課 電話 089-948-6936
在宅を続ける手立ては、福祉用具のほかにもあります。在宅介護の限界、どこで施設を考えるかにまとめています。
まとめ
持ち帰っていただきたいのは、次の4つです。
- 13品目は介護保険で1〜3割の負担で借りられます。要介護度で原則借りられない品目があります
- 杖・歩行器・固定用スロープは、借りるか買うかを選べます
- 補装具を使ってきた方は、これまでの利用状況を伝えて相談を
- 松山市で軽い要介護度の方が車いす等を借りるには、借りる前の承認が必要です
大将は、「快」と「心地いい」の2つにこだわってきました。大将のイメージでは、「快」は気持ちの満足、「心地いい」は体の満足。
福祉用具は、この「心地いい」のほうに近い話だと思っています。起き上がるときのベッドの高さ、手すりの位置、杖の長さ。毎日のことだからこそ、合う・合わないが一日の重さを変える。
そして、心地いいかどうかを決めるのは、使うご本人です。道具を選ぶ人ではありません。
だから選ぶときは、ご本人の声を真ん中に置いて、相談できる人と一緒に。してあげているのではなく、させていただいている。その姿勢を続けることが、大将の約束です♪
松山近郊でグループホーム・デイサービス・居宅介護をお探しでしたら、見学のご相談をどうぞ。
この記事の出典
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「福祉用具貸与」 https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group21.html
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービス編」 https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/service.html
- 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212398.html
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第239回 資料1(抜粋)「一部の福祉用具に係る貸与と販売の選択制の導入」 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001223188.pdf
- 厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1542「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく補装具費支給制度と介護保険制度の適用関係等について」(令和8年9月10日) https://www.mhlw.go.jp/content/001748303.pdf
- 松山市「福祉用具貸与・介護予防福祉用具貸与」(2023年8月8日更新) https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/kaigohoken/kaigohoken/hokensa-bisu/zaitaku/yougu_taiyo.html
- 松山市「軽度者に対する福祉用具貸与(例外給付)」(2025年3月5日更新) https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/kaigohoken/kaigohoken/hokensa-bisu/zaitaku/yougu_keido_r.html
- 松山市「福祉用具購入費の支給(特定福祉用具販売)」(2024年5月7日更新) https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/kaigohoken/kaigohoken/hokensa-bisu/zaitaku/yougu_sikyu.html
- 松山市「補装具費の支給」(2022年7月29日更新) https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/fukushi/shogai/hosougu_nisseigu/hosougu.html