介護施設の種類と違い|特養・老健・GHの選び方
「特養」「老健」「介護医療院」「グループホーム」「有料老人ホーム」。
親御さんの住まいを探し始めると、よう似た名前がずらっと並びます。どれも「介護が必要になったら暮らす場所」に見える。でも実は、目的も、入れる方の条件も、費用の決まり方も、けっこう違うんです。
大将です。松山でグループホームとデイサービス、居宅介護をやっています。
違いが分からないまま比べると、「空いているところ」「近いところ」で決めがちです。そして入ってから「思っていた場所と違った」。。。これは、ご本人にもご家族にもつらいことです。
今日は、住まいを移すタイプの介護施設5つの違いを、厚生労働省と松山市の公的な情報をもとに整理します。以下の条件や金額は2026年9月時点の公表情報にもとづく目安です。最終的には必ず施設と市の窓口でご確認ください。
まず全体像 — 5つの施設を「目的」で分ける
| 施設 | ひとことで言うと | 主な対象 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) | 常に介護が必要な方が暮らす | 新たに入所できるのは原則として要介護3以上 |
| 介護老人保健施設(老健) | 在宅復帰を目指してリハビリをする | 要介護1〜5 |
| 介護医療院 | 長期の療養が必要な方が医療と介護を受ける | 要介護1〜5 |
| グループホーム(認知症対応型共同生活介護) | 認知症の方が少人数で共同生活を送る | 認知症があり、要支援2・要介護1〜5 |
| 有料老人ホーム | 高齢者向けの住まい。介護の受け方はホームによって違う | ホームごとに確認 |
出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム、松山市「介護保険で利用できるサービスと利用料」(2026年9月確認)
上の3つは介護保険施設、グループホームは地域密着型サービスです。この区分が、費用の軽減や決まりごとの違いにつながります。
介護保険施設の3つ — 特養・老健・介護医療院
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
介護サービス情報公表システムでは、特養は「常に介護が必要な方の入所を受け入れ、入浴や食事などの日常生活上の支援や、機能訓練、療養上の世話などを提供します」とされています。
要支援1・2の方は利用できず、「新たに入所する要介護1・2の人もやむを得ない理由がある場合以外は利用できません」。つまり、新たに入所できるのは原則として要介護3以上の方です。なお、入所定員29人以下の小規模な特養は「地域密着型」に入ります。
介護老人保健施設(老健)
老健は「在宅復帰を目指している方の入所を受け入れ」、リハビリテーションや必要な医療、介護などを提供する施設です。対象は要介護1〜5の方で、症状が安定期にあることが前提です。
名前が似ているので特養と取り違えられやすいのですが、老健の目的は自宅に戻るための準備です。ここ、大事なところです。「ずっと暮らす場所」を探すのか、「家に帰るための一時期」を過ごす場所を探すのか。それで候補はがらっと変わります。
介護医療院
介護医療院は「長期にわたって療養が必要である方の入所を受け入れ」、医療と介護を一体的に提供する施設です。対象は要介護1〜5の方です。3つとも、要支援の方は利用できません。
グループホームと有料老人ホーム
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
大将が介護の世界で初めて社員として働いた職場も、グループホームでした。だから少し思い入れがあります♪ そのぶん、ここは事実だけを書きます。
グループホームは、認知症の方が5〜9人の少人数で、介護スタッフとともに共同生活を送る住まいです。対象は、認知症があり、要支援2または要介護1〜5の認定を受けた方。要支援1の方は利用できません。
大事なのは、地域密着型サービスだという点です。利用できるのは「原則としてサービスを提供する事業者のある市町村に住む人に限られます」。
有料老人ホーム
有料老人ホームは介護保険施設ではありません。介護保険の特定施設入居者生活介護の対象になっているホームでは、要介護認定を受けた入居者が、入浴・排泄・食事などの介護や機能訓練を受けられます。特定施設の対象かどうかも含めて、候補ごとに確かめてください。紹介センターを使う場合の注意点は老人ホーム紹介センターの仕組みと確認したいことに書きました。
費用と「決まりごと」の違い
| 介護保険施設(特養・老健・介護医療院) | グループホーム | 有料老人ホーム | |
|---|---|---|---|
| 費用の組み立て | 施設サービス費+居住費・食費・日常生活費 | 介護サービス費+家賃・食材料費・光熱水費など | ホームごとの契約による |
| 食費・居住費の軽減(負担限度額認定) | 対象 | 対象外 | 対象に含まれていない |
| 協力医療機関を定めること | 義務(経過措置は令和9年3月31日まで) | 努力義務 | 努力義務(特定施設の場合) |
出典: 松山市「施設入所者等の利用者負担軽減(介護保険負担限度額認定申請)」、社会保障審議会介護給付費分科会(第264回・令和8年9月3日)資料2(2026年9月確認)
所得の低い方の食費・居住費を軽くする負担限度額認定(補足給付)について、松山市の案内には「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)などの居住費・食費は対象外です」と明記されています。制度の中身は施設の食費・部屋代はどう決まる?軽減制度の話に書きました。
相部屋でも、部屋代がかかる場合があります
特養の多床室では、平成27年度から室料の負担が求められています。令和7年8月からは、介護老人保健施設(「その他型」「療養型」)と介護医療院(「Ⅱ型」)の、1人あたり床面積8㎡以上の多床室にも、月額8千円相当の室料負担が導入されました。ただし所得の低い方(利用者負担第1〜3段階)は「補足給付により利用者負担を増加させない」とされています。この先の扱いは国が議論している段階で、まだ何も決まっていません。
医療との連携の決まりも、強さが違う
特養・老健・介護医療院には、急変時の相談や診療、入院の受け入れの体制を確保した協力医療機関を定める義務があります。一方、グループホームや特定施設では、相談と診療の体制についての努力義務です。正直に言うと、大将のグループホームもこの「努力義務」の側です。
でも、努力義務は「連携しなくてよい」という意味ではありません。見学では「急に具合が悪くなったら、どちらの医療機関と連携されていますか」と、遠慮なく聞いてください。
松山では、どうなっているか
特養の月々の費用の目安
松山市は、要介護5の方が特養を1か月利用した場合の目安を公表しています。令和8年8月からの金額は次のとおりです。
| 項目(1割負担の場合) | 多床室 | ユニット型個室 |
|---|---|---|
| 施設サービス費の利用者負担 | 約27,000円 | 約29,000円 |
| 居住費 | 約28,000円(915円/日) | 約63,000円(2,066円/日) |
| 食費 | 約47,000円(1,545円/日) | 約47,000円(1,545円/日) |
| 日常生活費 | 約10,000円(施設により設定) | 約10,000円(施設により設定) |
| 合計 | 約112,000円 | 約149,000円 |
出典: 松山市「介護保険で利用できるサービスと利用料」(ページ更新 2026年6月8日。令和8年8月からの目安)
居室の種類で月に3万円以上違います。所得によっては負担限度額認定で軽くなる場合がありますので、費用のご相談は市の窓口へ。
候補の一覧と窓口
グループホームや地域密着型の特養は、松山市にお住まいなら探す範囲は市内です。市内の事業所は松山市の「介護サービス事業所一覧」(PDF)で、有料老人ホームとサ高住は市の一覧と「高齢者向け施設選びに関するガイドブック」で確認できます。
| 用件 | 窓口 | 電話 |
|---|---|---|
| 費用・負担限度額認定のこと | 松山市 介護保険課 介護給付担当 | 089-948-6885 / 089-948-6924 |
| 要介護認定の申請のこと | 松山市 介護保険課 要介護認定申請担当 | 089-948-6841 / 089-948-6926 |
| 有料老人ホーム・サ高住の一覧のこと | 松山市 指導監査課 | 089-948-6414 |
| 何から始めればよいか分からないとき | お住まいの地区の地域包括支援センター(市内13か所+サブセンター2か所) | 基幹型 089-948-6784 |
まだ要介護認定を受けていない場合は、そこが出発点です。入れる施設は要介護度で絞られるからです。申請の流れは松山で介護保険を申請するには?窓口と流れをご覧ください。
まとめ
- 特養は常に介護が必要な方の住まい。新たな入所は原則として要介護3以上です
- 老健は在宅復帰に向けたリハビリ、介護医療院は長期療養のための施設です
- グループホームは認知症の方の少人数の共同生活。原則として住んでいる市町村の事業所が対象です
- 食費・居住費の軽減(負担限度額認定)は、グループホームでは使えません
施設選びは、「どこが良いか」の前に、何のために住まいを移すのかを決めるところから始まります。そこが決まれば、候補は自然と絞られてきます。
在宅を続けるか住まいを変えるかで迷っている段階なら在宅介護の限界、どこで施設を考えるかを、グループホームを見学するときの着眼点はグループホーム見学、大将が見てほしい5つの点をご覧ください。
大将は昔、自分のブログにこう書いたことがあります。「ついのすみか。妥協しても幸せなことはありません。とことんこだわりましょう♪」。いまも気持ちは変わっていません。
こだわる物差しは、施設の側ではなく、暮らすご本人の側に置いてほしいんです。大将がずっと大事にしている「快」も同じ考え方です。快は、こちらが与えるものではなく、受け取る方の反応から生まれるもの。だから「してあげている」ではなく「させていただいている」。その方の今が快かどうか。そこを一緒に見ていけたらと思っています。
「うちの親の場合、どの種類が合うんやろう」という段階のご相談でも構いません。見学のご相談はこちらのフォームからお気軽にどうぞ。
出典
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」 https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group14.html
- 同「介護老人保健施設(老健)」 https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group15.html
- 同「介護医療院」 https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group26.html
- 同「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」 https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group18.html
- 同「サービス編」(地域密着型サービス・特定施設入居者生活介護の説明) https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/service.html
- 松山市「介護保険で利用できるサービスと利用料」 https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/kaigohoken/kaigohoken/sa-bisuriyou/aramashi.html
- 松山市「施設入所者等の利用者負担軽減(介護保険負担限度額認定申請)」 https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/kaigohoken/kaigohoken/hutan/gennin.html
- 松山市「介護サービス事業所一覧」 https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/kaigohoken/kaigohokenunei/zyouhou/jigyousyoichiran.html
- 松山市「有料老人ホーム等に関する施設情報」 https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/fukushi/korei/hojin/nyusho/yuuryouroujinnhome.html
- 松山市「介護保険課」 https://www.city.matsuyama.ehime.jp/shisei/kakukaichiran/hokenfukusibu/kaigohokentoppu.html
- 社会保障審議会介護給付費分科会(第264回・令和8年9月3日)資料2「医療・介護連携、人生の最終段階の医療・介護」 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001744917.pdf
- 同 資料5「多床室の室料負担」 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001744921.pdf
※本記事は2026年9月11日時点の公表情報にもとづいています(松山市の窓口・電話番号は2026年9月7日更新の市の公式ページで確認)。制度や費用、施設ごとの条件は変わることがありますので、実際のご検討にあたっては必ず松山市 介護保険課および各施設でご確認ください。