選び方

介護事故が不安|安全体制の見方と松山の相談先

親御さんの通う先を探しておられるとき、口には出しにくいけれど、頭の片隅にずっと居座っている不安があると思います。

もし転んだら。もし何かあったら。そのとき、家族にはちゃんと知らせてもらえるんだろうか。。。

見学の場でこれを聞くのは、勇気がいりますよね。「疑っていると思われないだろうか」と気を遣われる方は多いです。

がしかし。この不安は、制度で決まっている部分と、事業所ごとに違う部分に、きれいに分かれます。そこさえ分けておけば、聞きにくかった質問が、ずいぶん聞きやすくなるんです。

事故が起きたときの連絡は、どのサービスにも共通の決まりです

いちばん不安の大きいところからお伝えします。厚生労働省が2026年(令和8年)8月28日の会議に出した資料に、こう書かれています。

各サービスの運営基準等において、利用者に対するサービスの提供により事故が発生した場合は、速やかに市町村や利用者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならないと規定されている

「各サービスの運営基準等において」。ここが大事です。グループホームでもデイサービスでも訪問介護でも、事故が起きたら市町村とご家族へ速やかに連絡する。これは事業所の側に課せられた決まりだ、ということです。

ご家族の知らないところで処理される、という建てつけにはなっていません。ここは、まず肩の力を抜いていただいてよい部分だと思うんです。

出典: 社会保障審議会介護給付費分科会(第263回・令和8年8月28日)資料3。2026年8月時点

「事故を防ぐ仕組み」まで決められているのは、いまのところ施設です

がしかし。起きた後ではなく「起きる前」の仕組みとなると、事情が違います。

同じ資料に、介護保険施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院)について、運営基準で次の4つをしなければならないと定められている、と書かれています。

施設に定められている安全の措置 中身
①指針の整備 事故発生防止のための指針を整えること
②報告と周知徹底の体制 事故が発生した場合等の報告と、その分析を通じた改善策を従業者に周知徹底する体制を整えること
③委員会と研修 事故発生の防止のための委員会と、従業者に対する研修を定期的に行うこと
④担当者の設置 ①〜③を適切に実施するための担当者を置くこと

出典: 同資料3(原文の記載を表に整理)。2026年8月時点

そして同じ資料の「論点」には、こう書かれています。

介護現場の安全性の確保に関して、介護保険施設のほか、現行運営基準に安全管理措置の規定がない居宅サービス事業所等における実効性のある事故発生予防・再発防止を推進する観点から、どのような方策が考えられるか

「現行運営基準に安全管理措置の規定がない居宅サービス事業所等」。つまりデイサービスや訪問介護、居宅介護支援といった在宅のサービスには、施設と同じ形の予防の仕組みが、運営基準としては置かれていないということです。

読み方を間違えないでいただきたい。

「在宅のサービスは危ない」という話ではありません。 制度が一律には求めていないので、取り組みの形が事業所ごとに違う。それだけのことです。指針をつくり、話し合いの場を持ち、研修を重ねている事業所はたくさんあります。ただそれは、制度に言われたからではなく、その事業所が自分で決めてやっていることなんですね。

だから、聞けば分かる。そして、聞いてええ質問なんです。

見学のときに聞いていい、4つの質問

聞きにくさの正体は、たいてい「これは失礼な質問じゃないか」という遠慮です。でもここは、制度が事業所ごとの判断に委ねている部分。確かめるのは、ごく自然なことです。

聞いてみること そこから分かること
事故を防ぐための決まりごと(指針)はありますか 考え方が文章になっているか。口伝えだけになっていないか
安全について話し合う場はありますか 一人ひとりの注意力に頼るのではなく、チームで見ている形になっているか
職員さんの研修は、どのくらいの頻度でされていますか 積み重ねがあるか。内容まで聞けるとなおよい
何かあったとき、家族にはどう連絡が来ますか 前の章の連絡の決まりが、具体的な手順になっているか

聞き方のコツは、責める形にしないことです。「事故は起きていませんか」ではなく「もしものとき、どうされていますか」。これだけで、答える側もぐっと答えやすくなります♪

すぐに答えが出てこなくても、それだけで良し悪しを決めないでいただきたい。職員さんは日々のケアが本業ですから、書類の話がぱっと出てこないこともあります。「あとで確認してご連絡します」と言ってもらえるかどうか。大将は、その返しの早さもひとつの見方だと思っています。

なお、この4つのうちいくつかは、見学に行く前に自分で調べられます。国の介護サービス情報公表システムには「安全・衛生管理等の体制」「その他(従業者の研修の状況など)」という欄があり、事業所が報告した内容を無料で見られます。

見学全体で見ておきたい点は、グループホーム見学、大将が見てほしい5つの点にまとめています。

国はいま、全国で事故の情報を集める仕組みを検討しています

冒頭で触れた2026年8月28日の会議は、令和9年度の介護報酬改定に向けた議論の場です。そこで、事故防止について次のような方向性が示されました。

  • 事故情報を国が集めて分析し、その結果を介護の現場に返す、全国的な仕組み(PDCAサイクル)をつくる
  • 報告の受け皿として、介護サービス情報公表システムを活用したサブシステムを新たに構築してはどうか
  • 役割分担は、市町村が報告の受付と集計、都道府県が広域的な集計・助言・研修、国が収集と分析と様式の標準化

資料には、この取り組みの性格も明記されています。

本取組の目的は原因分析・再発防止であって個別事案に対する責任所在の追及ではないことを踏まえ、個人が特定されうる情報の取得は行わないこととすることとしてはどうか

誰かを罰するためではなく、原因を調べて次を防ぐための仕組みにする。個人が特定される情報は取らない。大将は、この線の引き方はええなあと思います。責任追及が目的になると、現場は報告を出しにくくなりますから。

⚠ ただし、これはすべて検討の方向性を示した段階で、決まったことではありません。いつから、どんな形で始まるかは、これから議論されます。

松山では、どうなっているか

松山市には、事業所からの事故報告について定めた基準があります。

松山市介護保険施設等事故報告事務取扱基準(令和7年1月23日付で改正)です。市の案内では、第1報は事故発生から5日以内を目安、第2報は2週間を目安に提出することとされています。提出先は松山市の指導監査課(松山市二番町四丁目7-2 別館2階/089-948-6968)です。

報告の対象になる事故として、市は次のような場合を挙げています。

  • 病院・診療所での治療を受けた場合
  • サービスの提供に伴う死亡
  • 警察への捜索願を提出した場合
  • 損害賠償の発生・請求があった場合
  • 食中毒及び感染症等で法令により保健所に報告をした場合 など

つまり松山市では、病院や診療所で治療を受けたような事故は市に報告が上がる仕組みになっている。事業所とご家族の二者だけで閉じる話ではない、ということです。

相談先にも、順番があります。松山市の公式ページの案内です。

介護サービス事業者が提供するサービスに対して、相談・苦情のあるときは、各事業所に対応する窓口を設置していますので、まずはサービスを提供する事業者に相談してください

相談先の順番。1 まずサービスを提供する事業所の窓口へ。2 松山市 指導監査課(089-948-6968)へ。3 愛媛県国民健康保険団体連合会、または愛媛県福祉サービス運営適正化委員会へ

市が挙げているのは、指導監査課、愛媛県国民健康保険団体連合会、愛媛県福祉サービス運営適正化委員会です。

  • 愛媛県国民健康保険団体連合会は、介護保険法第176条に基づいて被保険者等からの苦情を受け付けています(松山市高岡町101-1/代表 089-968-8800)
  • 愛媛県福祉サービス運営適正化委員会は、社会福祉法にもとづいて愛媛県社会福祉協議会に置かれている組織です。事業者の段階では解決が難しい福祉サービスの苦情を、中立の立場で受け止めます

いきなり外の窓口へ行かねばならない、ということではありません。まずは事業所に話す。それでも収まらないときに市があり、その先に県の窓口がある。段階があると知っておくだけで、気持ちの持ちようが違うと思うんです。

大将のデイサービスもグループホームも、当然この決まりの中にあります。他の事業所とまったく同じ目で、遠慮なく聞いてやってください。

在宅での介護をどこまで続けるか迷っておられる方は、在宅介護の限界、どこで施設を考えるかもあわせてご覧ください。

まとめ

  • 事故が起きたときに市町村と家族へ速やかに連絡することは、各サービスの運営基準等に定められた決まりです
  • 一方、指針・委員会・研修・担当者という予防の仕組みが運営基準で定められているのは、現時点では介護保険施設です。デイサービスなど在宅のサービスは「規定がない」と国の資料に書かれています
  • これは在宅が危ないという意味ではなく、取り組みの形が事業所ごとに違うという意味です。だから見学で聞いてよい
  • 見学では「指針」「話し合いの場」「研修」「家族への連絡」の4つを。事前に介護サービス情報公表システムで下調べもできます
  • 国は事故情報を集めて分析する全国的な仕組みを検討中です(決定ではありません)
  • 松山市は事故報告の取扱基準を持ち、担当は指導監査課(089-948-6968)。相談は事業所 → 市 → 県の窓口という段階があります

不安を抱えたまま見学に行くと、玄関の空気も職員さんの表情も、素直には入ってきません。。。聞いてもいいことなんだと分かっているだけで、見学の1時間はまるで別のものになります。

大将がずっと大事にしている「快」は、こちらが「してあげている」ものではなく、受け取ってくださる側の反応から生まれるものだと思っています。ご家族が安心して預けられること。そのために遠慮なく確かめていただくこと。それも「快」のひとつの形だと感じます。

隠すものがなければ、聞かれて困ることはありません。しゃんと確かめて、そのうえで選んでいただきたい。

見学のご相談は、こちらのフォームからお気軽にどうぞ。


出典

※本記事は2026年8月時点の公表資料にもとづいています。制度の検討状況や窓口は変わることがありますので、最新の内容は各機関の公式ページでご確認ください。

まずは、見学にお越しください。

どの施設が合うのか、費用はどれくらいか。決めていない段階のご相談で結構です。お電話でもフォームでもお受けします。

見学のご相談 →

お電話 089-993-5737