選び方

介護サービス情報公表システム|見学前の調べ方

親御さんの施設を探し始めて、まず手にするのはパンフレットだと思います。きれいな写真、やわらかい言葉、笑顔。。。どこも良さそうに見えて、かえって決められなくなる。

そして見学に行く。でも見学って、長くても1時間ほどです。その1時間で、職員さんが何人おられるのか、研修はどうしているのか、苦情の窓口はどこなのか——そこまで聞き切るのは、正直むずかしい。お受けする側の大将も、1時間で全部お伝えするのは難しいなあ、と思うんです。

がしかし。実はその多くが、見学に行く前から、無料で調べられるようになっています。国が用意している「介護サービス情報公表システム」です。「そんなもんがあるんですか」とよく驚かれます。それが、けっこう詳しい。

国が運営している、無料の検索システムがあります

介護サービス情報公表システムは、厚生労働省が設置・運営しているデータベースです。介護保険法第115条の35から第115条の44までを根拠とする「介護サービス情報の公表制度」にもとづいて、平成18年4月から続いています。

制度の狙いは、公表システムの説明ページにこう書かれています。

利用者が介護サービスや事業所・施設を比較・検討して適切に選ぶための情報を都道府県が提供する仕組み

つまり、ご家族が自分で比べるための道具として、はじめから作られているわけです。事業者のためではなく、選ぶ側のために。ここ、大事なところだと思うんです。

  • 全国約21万か所の介護サービス事業所の情報が検索・閲覧できます
  • 介護保険法に基づく全26種類54サービスの事業所・施設が対象です
  • 利用にあたって手数料は徴収されません

パソコンでもスマートフォンでも見られます。www.kaigokensaku.mhlw.go.jp を開いて、都道府県を選ぶところから始まります。

ただし、万能ではありません。年間収入が100万円以下の事業所と、介護予防支援事業所は公表の対象になっていません。「ここに載っていない=良くない事業所」ではありませんので、そこは誤解のないように。載っていない事業所もある、という前提だけ持っておいてください。

何が載っているのか — 「基本情報」と「運営情報」

公表されている中身は、大きく二つに分かれています。

基本情報は、事業所を構成する客観的な事実です。

基本情報の項目 中身の例
事業所の名称、所在地など 名称・住所・電話番号・開設年月日
従業者に関する情報 職種ごとの人数、常勤・非常勤の別、資格の保有状況
提供サービスの内容 実施しているサービス、営業日・営業時間、利用者数
利用料など 介護保険外の費用(食費・日用品費など)を含む料金
法人情報 運営している法人の名称・所在地

運営情報は、その事業所が「どう取り組んでいるか」の情報です。

運営情報の項目
利用者の権利擁護の取組
サービスの質の確保への取組
相談・苦情等への対応
外部機関等との連携
適切な事業運営・管理の体制
安全・衛生管理等の体制
その他(従業者の研修の状況など)

加えて、この二つの調査票とあわせて事業所等の財務状況が分かる書類の報告も求められています。厚生労働省の通知にも「事業所等の財務状況が分かる書類(財務諸表又は計算書類等)を報告しなければならない」と明記されています。運営している法人のお金の状況まで、ご家族が確認できる形になっているということです。大切な方をお預けする先のことですから、出すのが当たり前だと大将は思っています。

出典: 厚生労働省「介護サービスの情報公表制度」/ 介護サービス情報公表システム「介護サービス情報公表制度とは」/ 介護保険最新情報 Vol.1535(令和8年8月14日・老認発0814第1号)。いずれも2026年8月時点

見学の前に、ここだけは見ておきたい4つ

項目が多いので、全部読もうとすると疲れます。。。大将がご家族に「まずここだけ」とお伝えするなら、この4つです。

見る項目 そこから何が分かるか
従業者に関する情報 職員さんの人数と、常勤の割合。介護福祉士などの資格保有状況。「見学のときに人が多く見えた」が普段どおりかを確かめる材料になります
その他(従業者の研修の状況) 認知症ケアや事故防止の研修を、年に何回・どんな内容でやっているか。日々の積み重ねが出るところです
相談・苦情等への対応 苦情窓口の名称・電話番号・対応時間。窓口が具体的に書けているかは、ひとつの目安になります
利用料など 介護保険の自己負担のほかに、月々いくらかかるのか。食費・日用品費・その他の費用の内訳

とくに「利用料など」は、見学の場ではいちばん聞きにくい話ですよね。お金のことを先に聞くのは気が引ける、と多くの方がおっしゃいます。でも先に数字を見てから行くと、質問がぐっと具体的になるんです。「この費用には何が含まれていますか」と聞けるだけで、話が早い。聞かれた側も答えやすい。お互いにとって、そのほうがええと思うんです♪

費用の全体像については、介護保険の自己負担、1割・2割・3割の決まり方と、施設の食費・部屋代はどう決まる?軽減制度の話にまとめています。

公表システムで調べてから見学に行く三つの手順。1 公表システムで職員体制・研修・苦情窓口・利用料を確認する。2 気になった点を三つだけメモにする。3 見学でその三つを自分の目と耳で確かめる

この情報の性格を、正しく知っておいてください

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

公表されている情報は、事業所が自分で都道府県に報告したものが土台になっています。そのうえで、都道府県知事が調査を行う必要があると認めた事業所には、訪問調査が入ります。国のガイドラインでは、新規申請から3年間は毎年実施することが例示されていますが、実際の頻度は地域の実情に応じて都道府県が判断する仕組みです。

だから、こう考えてください。

  • 公表情報は、事業所の優劣を評価したランキングではありません
  • 数字が多い・少ないが、そのまま良い・悪いを意味するわけでもありません
  • 施設の種別が違えば、人員の基準も費用の仕組みも違います。種別をまたいで単純に並べて比べないことです

公表情報でできるのは、事実を先に押さえて、見学で聞くことを絞り込むこと。ここまでです。

最後は、ご自身の目で見て、耳で聞いて、感じたことで決めていただきたい。紙の上の数字では、玄関に入った瞬間の空気は分かりませんから。

見学で何を見ればよいかは、グループホーム見学、大将が見てほしい5つの点に書きました。あわせて読んでいただけると、調べる→見る、がつながると思います。

松山では、どうなっているか

愛媛県では、愛媛県長寿介護課がこの制度の公表事務を担当しています。対象の事業所は県から知らされたID・パスワードで報告システムにログインして報告し、そのうち県の指針で「調査対象事業所」に当たるところは、県が指定する調査機関である特定非営利活動法人JMACSから訪問調査を受けます。報告・調査・情報公表の計画は年度ごとに県が定めて公開しています。

調べ方は、公表システムの愛媛県のページから入るのが早いです。ここでは介護事業所のほかに、こんなものも検索できます。

  • 地域包括支援センター(平成27年10月から検索対象に加わりました)
  • 有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • 生活支援等サービス、認知症に関する相談窓口

介護保険の事業所だけでなく、住まいの選択肢や相談窓口まで同じ入口から探せる。ここはあまり知られていないところだと思います。

松山市には、もうひとつ手軽な道具があります。市が公開している介護サービス事業所一覧です。グループホーム・特別養護老人ホーム・デイサービス・ショートステイなど、サービス種別ごとにまとまっていて、原則、毎月更新されています。近くにどんな事業所があるか一覧で眺めたいときは、こちらが早い。担当は松山市の指導監査課(089-948-6968)です。

愛媛県には、県の介護情報サイト「愛顔(えがお)ケアねっと」(egaocare.net)もあります。

  • 全国の詳しい情報 → 介護サービス情報公表システム
  • 松山市内にどんな事業所があるかの一覧 → 松山市 介護サービス事業所一覧
  • 愛媛県内の相談先 → 愛顔ケアねっと

用途で使い分けてみてください。介護保険をこれから申請される段階の方は、松山で介護保険を申請するには?窓口と流れから先にご覧ください。

そして——大将のグループホームも、デイサービスも、同じように載っています。うちも同じ土俵で、同じ項目を出しています。どうぞ、他の事業所とまったく同じ目で見てやってください。

まとめ

  • 介護サービス情報公表システムは、厚生労働省が運営する無料の検索システムです(介護保険法第115条の35〜)
  • 全26種類54サービス・全国約21万か所の事業所が対象。年間収入100万円以下の事業所などは対象外です
  • 載っているのは基本情報(職員体制・提供サービス・利用料など)と運営情報(苦情対応・研修・安全衛生など)。あわせて財務状況が分かる書類も報告対象です
  • 見学前に見るなら従業者・研修・苦情窓口・利用料の4つ
  • 情報は事業所の自己報告が土台であり、優劣の評価ではありません。見学の代わりにはなりません
  • 愛媛県は長寿介護課が担当、訪問調査はJMACS。松山市の事業所一覧(指導監査課 089-948-6968)は原則毎月更新です

調べれば調べるほど、分からないことが増える。施設探しには、そういう時期があります。。。

それでも大将がこの記事を書いたのは、知らないまま選ばされるのがいちばんつらいと思うからです。ご家族が自分で確かめられる道具は、無料で、もう用意されている。それを知っているかどうかだけで、見学の1時間の中身が変わります。

大将がずっと大事にしている「快」は、こちらが「してあげている」ものではなくて、お客様とご家族の反応の中から生まれてくるものだと思っています。評価のものさしは、いつでも受け取る側にある。押し付けや自己満足にならないための、これが大将の芯です。

だとすれば、こちらの情報を隠さず出しておくこと、堂々と比べていただける状態にしておくことも、「快」のひとつの形だと感じています。しゃんと出して、しゃんと見ていただく。比べた末に選んでいただけたなら、これほどうれしいことはありません♪

調べてみて分からないことが出てきたら、そのまま聞いてください。見学のご相談は、こちらのフォームからお気軽にどうぞ。


出典

※本記事は2026年8月時点の公表情報にもとづいています。制度の運用や窓口は変わることがありますので、最新の内容は各機関の公式ページでご確認ください。

まずは、見学にお越しください。

どの施設が合うのか、費用はどれくらいか。決めていない段階のご相談で結構です。お電話でもフォームでもお受けします。

見学のご相談 →

お電話 089-993-5737