選び方

介護施設の医療連携|急変時に見学で聞くこと

パンフレットを何冊も机に並べて、費用と場所と雰囲気を見比べる。ひととおり見終わったあとで、ふっと胸に浮かんでくる問いがあります。

「もし、ここで急に具合が悪うなったら、どうなるんやろう」

夜中に熱が出たら。食事の途中で様子がおかしくなったら。誰が診てくれて、どこの病院へ運ばれるのか。家族には何時に連絡が来るのか。。。パンフレットには、たいていそこまで書かれていません。

大将のところにも、このご質問はよく届きます。そして、聞きにくそうに聞かれる方がほんとうに多い。

でも、これは遠慮する話ではないと大将は思っています。この「医療とのつながり」は、いままさに国が制度として整えている最中の話です。しかも、施設の種類によって決まりの強さが違う。そこを知っておくだけで、見学で何を聞けばよいかがはっきりします。

施設には「協力医療機関」を決めておく決まりがある

令和6年度の介護報酬改定で、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)・介護老人保健施設・介護医療院といった介護保険施設には、次の体制を確保した協力医療機関を定めることが義務づけられました。

求められている体制
① 入所者の病状が急変した場合などに、医師または看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること
② 診療を行う体制を常時確保していること
③ 入院を要すると認められた入所者の入院を原則として受け入れる体制を確保していること(病院に限る)

出典: 社会保障審議会介護給付費分科会(第264回・令和8年9月3日)資料2。2026年9月時点

「常時」という言葉が、二度出てきます。日曜の朝でも、真夜中でも、相談できて、診てもらえる先を決めておきなさい。そういう意味です。

そして③には「入院を原則として受け入れる」とある。診るだけでなく、入院が必要になったときの行き先まで含めて決めておく、という考え方です。

ご家族がいちばん知りたいのは、たぶんここだと思うんです。「悪くなったとき、どこへ行くのか」。それが決まっているかどうか。ふわっとした安心ではなく、制度の言葉になっている。ここは知っておいて損はありません。

令和9年3月末で「準備期間」が終わります

この義務には経過措置が置かれています。資料には**「経過措置は令和9年3月31日まで」**と書かれています。つまり、令和9年4月からは満たしていることが求められる。いまはちょうど、その準備期間の終盤にあたります。

国は自治体に対しても、この期間の終わりを見据えた対応を求めています。第264回の資料には、連携の状況を把握すること、取り組みが進んでいない施設へ周知・助言をすること、地域の医療機関のリストを提供するなどの支援をすること、在宅医療・介護連携推進事業を活用して施設と医療機関を引き合わせることなどが挙げられています。

大事なのは、これがまだ途中の話だということです。準備の進み方には施設ごとに差があります。だからこそ、見学で確かめる意味があります。

施設の種類で「決まりの強さ」が違う

ここは取り違えやすいので、表にします。

施設の種類 協力医療機関についての定め
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院 上の①②③を確保した協力医療機関を定めることが義務(経過措置は令和9年3月31日まで)
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)、特定施設入居者生活介護、軽費老人ホーム 上の①②を確保した協力医療機関を定めることが努力義務

出典: 同資料2(原文の記載を表に整理)。2026年9月時点

ここで取り違えてほしくないことがあります。グループホームなどが「努力義務」なのは、連携しなくてよいという意味ではありません。制度上の位置づけとして、求め方の強さが違うというだけの話です。

正直に申し上げますと、大将が運営しているグループホームも、この「努力義務」の側です。だからこそ、聞かれて当たり前だと思っています。

決まりが弱い側だからこそ、どうしているかを自分の言葉で説明できるかどうか。そこにその施設の姿勢が出る。大将はそう思っています。

なお、この記事は他の事業所と比べて優劣をつけるためのものではありません。国が制度を整えている途中であり、ご家族の側には確かめる手がかりがある。お伝えしたいのは、そこだけです。

見学で聞いてよい、4つの質問

聞き方が分からないと、結局その場では聞けずに帰ってしまいます。。。ですので、そのまま口に出せる形にしておきます。どれも、事業所を困らせる質問ではありません。

聞くこと なぜ聞くのか
急に具合が悪くなったとき、どちらの医療機関と連携されていますか 行き先が決まっているかどうかが分かります
夜間や休日でも相談できる先はありますか 「常時」の中身が分かります
入院が必要になったとき、受け入れ先はどうなりますか 施設の種類によっては、ここまで含めた決まりがあります
入院が長引いたとき、部屋はどうなりますか 制度ではなく契約の話です。重要事項説明書に書かれています

最後の一つだけ、性格が違います。入院しているあいだの居室や費用の扱いは、重要事項説明書や契約書に書かれている部分です。あとから知ると気持ちがざわつくところなので、契約の前に確かめておかれることをおすすめします。

医療との連携とは別に、事故の予防や報告の仕組みにも決まりがあります。そちらは介護事故が不安|安全体制の見方と松山の相談先に整理しました。見学全体で見ておきたい点はグループホーム見学、大将が見てほしい5つの点に、見学に行く前の下調べの仕方は介護サービス情報公表システム|見学前の調べ方にまとめています。

「そのときどうしたいか」を話しておく、という考え方

第264回の資料には、本人が望む場所で最期まで過ごせるようにするにはどうするか、という論点もあがっていました。もしものときに備えて、本人・家族・医療や介護の専門職であらかじめ話し合っておく取り組みをアドバンス・ケア・プランニングといい、厚生労働省はその愛称を「人生会議」と定めています。

ただ、これはご家族にとって重い話です。急ぐ必要はありませんし、無理に結論を出すものでもありません。「そういう考え方があるらしい」と頭の片隅に置いておく。それで十分だと大将は思っています。

松山では、どうなっているか

松山市は「在宅医療・介護連携推進事業」に取り組んでいます。市が医師会・歯科医師会・薬剤師会と連携協定を結び、同じ方に関わる医療と介護の関係者が情報を共有するための連携ツールを令和元年8月に作成しました。市民公開講座やシンポジウム、事例集の作成も行われています。

つまり、医療と介護をつなぐ仕事を、市と専門職の団体が一緒にやっているということです。ありがたい話だと思います♪

相談の窓口も、松山にはきちんとあります。

窓口 所在地 電話
松山市在宅医療支援センター 松山市柳井町2丁目85番地 089-915-7780
総合歯科医療連携室 松山市柳井町2丁目6-2 089-932-5407
在宅薬局支援センター 松山市三番町7丁目6-9 089-941-4165

出典: 松山市「在宅医療と介護の連携推進」。2026年9月時点

このうち松山市在宅医療支援センターは、看護師や社会福祉士が相談に応じてくれる窓口です。受付は9時から17時(月曜日から金曜日。土曜・日曜・祝日・年末年始は休み)。

同センターのページには、こんな相談例が並んでいます。

  • かかりつけの先生を探したいけどわからない
  • 病院で退院をすすめられたけどどうしよう
  • 通院できなくなってしまった
  • 本当に家で看ていけるのかな

どれも、施設を探しておられるご家族が抱えている不安と地続きです。医療と介護のあいだで迷ったとき、こういう窓口が松山にもあると知っておいていただけたらと思います。

事業そのものの問い合わせ先は、松山市長寿福祉課の基幹型地域包括支援センター(089-948-6949)です。お住まいの地域の相談は、市内13か所とサブセンター2か所の地域包括支援センターが入り口になります。介護保険そのものの手続きは松山で介護保険を申請するには?窓口と流れをご覧ください。

まとめ

  • 特養・老健・介護医療院には、相談・診療・入院受け入れの体制を確保した協力医療機関を定める義務があります(経過措置は令和9年3月31日まで)
  • グループホーム・特定施設・軽費老人ホームは、相談と診療の体制についての努力義務です。連携が不要という意味ではありません
  • 準備の進み方には差があります。だから見学で聞いてよい。聞き方は4つの質問に整理しました
  • 入院が長引いたときの居室や費用は制度ではなく契約の話です。重要事項説明書で確認を
  • 松山市は在宅医療・介護連携推進事業に取り組み、**松山市在宅医療支援センター(089-915-7780)**という相談窓口があります

見学というのは、施設が家族を選ぶ場ではありません。家族が施設を確かめる場です。大将はずっとそう思ってきました。だから、聞きにくいことこそ聞いてください。

大将が大事にしている「快」は、こちらが「してあげる」ものではなく、受け取ってくださる方の反応から生まれるものです。「してあげている」ではなく「させていただいている」。その姿勢でいる限り、ご家族から何を聞かれても、困ることはありません。

不安を抱えたまま預けるより、確かめたうえで預けていただきたい。そのほうが、お互いに気持ちよう過ごせます。

見学のご相談は、こちらのフォームからお気軽にどうぞ。


出典

※本記事は2026年9月時点の公表資料にもとづいています。制度の内容や窓口は変わることがありますので、最新の内容は各機関の公式ページでご確認ください。個別のご事情については、かかりつけ医・ケアマネジャー・地域包括支援センターにご相談ください。

まずは、見学にお越しください。

どの施設が合うのか、費用はどれくらいか。決めていない段階のご相談で結構です。お電話でもフォームでもお受けします。

見学のご相談 →

お電話 089-993-5737