選び方

親のペットと介護|施設入居の前に家族が考えること

一人暮らしの親が、犬や猫と暮らしている。親にとってはかけがえのない家族で、毎日の張り合いにもなっている。 でも、足腰が弱ってきた。物忘れが増えてきた。。。 「この子、これからどうなるんやろ」。そう思ったことのあるご家族は、きっと少なくないはずです。

介護の話になると、ペットのことはつい後回しにされがちです。けれど、ご本人にとっては「この子と離れたくない」が、施設や介護サービスを考えるうえでいちばん大きな気がかりになっていることもある。大将はそう感じています。

というわけで今回は、介護が始まったときにペットのことで何が変わるのか、施設を考えるときに何を確かめておけばいいのか、そして松山市の犬・猫の引取りの決まりを、松山市と厚生労働省の公式情報にもとづいて大将が整理してみます。

在宅介護が始まったら——ペットの世話は訪問介護では頼めない

在宅で介護保険のサービスを使い始めると、ホームヘルパー(訪問介護)に掃除や買い物、調理などを手伝ってもらえるようになります。ただし、ペットの世話は、一般的に訪問介護(介護保険)の範囲に含まれないとされています。

国の通知(平成12年 老振第76号)は、「一般的に介護保険の家事援助の範囲に含まれないと考えられる事例」として、「日常生活の援助」に該当しない行為の中に次のものを挙げています。

  • 草むしり
  • 花木の水やり
  • 犬の散歩等ペットの世話

つまり、ヘルパーさんが来てくれるようになっても、犬の散歩やえさやり、トイレの始末は、ご本人かご家族、あるいは別の手段で担うことになります。ここ、見落とされやすいところだと大将は感じています。

一方で、厚生労働省は平成30年の通知で、訪問介護の前後や合間に、介護保険の外のサービス(保険外サービス)として「草むしり、ペットの世話」を提供する場合の取扱いを示しています。その場合は、次のような条件が付きます。

項目 通知が求めていること
同意 保険外サービスの内容・提供時間・利用料等について、利用者の同意を得る
費用 訪問介護の利用料とは別に費用を請求する
ケアマネへの報告 契約の前後に、担当のケアマネジャーへサービスの内容や提供時間等を報告する

出典: 厚生労働省「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」(平成30年9月28日)より要約(2026年9月確認)

保険外サービスは介護保険の外の話なので、利用料は別になりますし、こうしたサービスを行っているかどうかは事業所に確かめる必要があります。まずは担当のケアマネジャーに「ペットの世話をどうするか」を話しておいてください。ケアプランを考えるときの前提として、一緒に考えてもらえます。

施設を考えるとき——見学で確かめたいこと

住まいを移すことを考えはじめたとき、ペットを連れて入れるかどうかは、ご本人にとって大事な判断材料です。受け入れるかどうか、どんな条件があるかは、パンフレットだけでは分からないことも多いので、見学のときに直接確かめるのがいちばん確実です。

確かめたいこと 聞き方の例
受け入れの可否 犬(猫)を連れて入居することはできますか
種類・大きさ・頭数 受け入れられる動物の種類や大きさ、頭数に決まりはありますか
世話の担い手 散歩やえさやりは、本人が行う決まりですか。職員に手伝ってもらえますか
費用 ペットに関する追加の費用はありますか
本人が世話をできなくなったとき 本人が入院したり、世話ができなくなったりしたとき、ペットはどうなりますか
他の入居者への配慮 動物が苦手な方やアレルギーのある方への配慮はどうしていますか

大将が特に聞いておいてほしいのは、最後から2つ目の「本人が世話をできなくなったとき」です。入居したときは元気でも、介護が必要な状態は変わっていきます。そのときにペットをどうするかまで話しておけば、あとで慌てずにすみます。聞きにくいことほど、見学のうちに聞いておく。これが大事やと思うんです。

施設の種類ごとの違いは介護施設の種類と違い|特養・老健・GHの選び方、グループホームの見学で見てほしい点はグループホーム見学、大将が見てほしい5つの点で紹介しています。

親のペットについて家族が考えておきたい3つの時期を示した図。1元気なうちに、もしもの時の預け先・引き受ける人を決めておく。2在宅介護が始まったら、散歩・世話の担い手を決める(訪問介護では頼めない)。3施設を考えるときは、見学で受け入れの可否と条件を直接確かめる。

元気なうちに決めておきたい「もしもの預け先」

急な入院や体調の変化は、前ぶれなく起こることがあります。そのとき、ペットを誰が見るのかが決まっていないと、ご家族はあわてて預け先を探すことになる。。。 段取りの手前の準備を、大将は「仕込み」と呼んでいます。ペットのことも、元気なうちの仕込みがものを言います。

松山市は、飼い主に向けて、一時的な預け先や、万一のときにペットを引き受けてくれる人を探しておくよう案内しています。家族で話しておきたいのは、たとえば次のようなことです。

  • 入院などで一時的に世話ができないとき、誰が預かるか
  • ずっと飼えなくなったとき、誰が引き継ぐか(家族・親戚・知人)
  • かかりつけの動物病院、えさの種類、持病や服薬、ワクチンの記録
  • 預かる人に渡すための費用をどうするか

こうした話は、親の終活の一部として切り出すと話しやすくなることがあります。終活の始め方は親の終活、家族はどこから手伝えばいい?で紹介しています。身寄りが少なく、引き受け手が見つからないことが心配な場合は、身寄りがないとき頼れる制度と松山の相談先もあわせてご覧ください。

松山では、どうなっているか

松山市では、飼い犬・飼い猫の引取りについて、次のように案内しています(2026年9月確認)。

項目 松山市の案内
相談先 はぴまるの丘(松山市動物愛護センター) 電話 089-923-9435
事前相談 即日の引き取りは行っていないため、事前に相談が必要
手数料 生後91日以上 1頭 2,000円 / 生後90日以内 1頭 400円
引き取らない場合 新しい飼い主探しに手を尽くしていない場合などは、原則として引き取らない

出典: 松山市「飼い犬・飼い猫の引取り」(2026年9月確認)

松山市は「最後まで面倒をみることが飼い主の義務」としており、引取りは、新しい飼い主を探す努力をしたうえでの最後の手段という位置づけです。病気や老齢だけを理由とする場合なども、引取りを断られる場合として挙げられています。

はぴまるの丘は、松山総合公園(朝日ヶ丘1丁目)の中にある施設で、迷い犬などの保護や、飼い主への返還・譲渡、飼育の心構えやペットの防災についての啓発を行っています。

ペットのことも含めて、親の暮らし全体をどう支えるか迷ったときは、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談できます。松山市の13か所の一覧は地域包括支援センターとは|松山の13か所と相談先にまとめています。

大将たちは松山で居宅介護支援・デイサービス・グループホームを運営しています。

まとめ

  • ペットの世話(犬の散歩など)は、一般的に訪問介護(介護保険)の範囲に含まれないとされています。保険外サービスとして組み合わせる場合は、別料金・利用者の同意・ケアマネへの報告などの条件があります。
  • 施設でペットと暮らせるかどうかは、見学で直接確かめるのが確実です。「本人が世話をできなくなったとき」の扱いまで聞いておきましょう。
  • 急な入院に備えて、一時的な預け先と、ずっと飼えなくなったときの引き継ぎ先を、元気なうちに家族で決めておくと安心です。
  • 松山市の犬・猫の引取りは有料で、事前にはぴまるの丘への相談が必要です。新しい飼い主探しを尽くしていない場合などは、原則として引き取られません。

ペットは、ご本人の暮らしの一部です。介護のことを考えるとき、「この子のこと」も一緒に考える。それはそのまま、ご本人の気持ちを大切にすることだと大将は思っています。

大将たちが大切にしている「快」は、こちらが「してあげる」ものではなく、お客様やご家族の反応から生まれてくるもの。ご本人が何を大事にして暮らしてきたのか。そこに目を向けることが、「させていただく」介護の入口なんやと感じています。

住まいや通い先のこと、ペットのことも含めて、まだ何も決めていない段階で構いません。見学のご相談から、お気軽にお声がけください♪


出典: 松山市 飼い犬・飼い猫の引取り / 松山市 はぴまるの丘(松山市動物愛護センター) / 厚生省 指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について(平成12年11月16日 老振第76号・国立社会保障・人口問題研究所の資料集より) / 厚生労働省 介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて(平成30年9月28日)(いずれも2026年9月確認)

まずは、見学にお越しください。

どの施設が合うのか、費用はどれくらいか。決めていない段階のご相談で結構です。お電話でもフォームでもお受けします。

見学のご相談 →

お電話 089-993-5737